Question: | いろいろなヒーターがありますが、空気加熱に最適なヒーターを教えて下さい。 |
KAWAI: | 最適なヒーターは用途によって異なります。 検討するのに役立つ、実証データがございますのでご覧ください!! |
空気加熱の方法回答編です
空気加熱にも様々なニーズがありますが、今回は汎用性が高い、「60~80℃に一定空間の空気を加熱したい」というケースを考えてみましょう。
この温度帯は問い合わせをいただくケースも多いですね。
では、どのように検証していきましょうか。
まずは検証方法
検証方法はシンプルにいたしました。方法:一定空間に3種類のヒーターを入れ、昇温の傾向をつかむ。
適当な大きさの筐体を用意し、ヒーターを3種類用意します。
ヒーターの容量はすべて、200Wに揃え、カートリッジヒーターと、ラバーヒーターは大きさを二種類用意し、それぞれ中央に配置し、密閉状態を作ります。
制御はせずに、おおよそ温度がなじんだと思われたら、筐体内で何点か温度を測定し、傾向を比較します。
果たして結果は?
結果
まずは筐体の中の温度がどのようだったか?概要をまとめてみました。① ラバー大 | ② ラバー小 | ③ カートリッジヒーター | |
ヒーター 飽和温度 | 183℃ | 280℃ | 692℃ |
空間内最高温度 | 89℃ | 105℃ | 99℃ |
空間内最低温度 | 75℃ | 68℃ | 76℃ |
空間内温度差 | 14℃ | 37℃ | 23℃ |
結果的に①ラバーヒーター大が最も温度のばらつきが少ないという結果になりました。
これはどういうことでしょう?
同じW(ワット)でもヒーターの飽和温度が違う
まず、①ラバーヒーター大が最もヒーターの温度が低いですね。これは、ヒーターの「電力密度」が大きく関わっています。
電力密度とは、単位面積当たりの容量(W/㎠)を指すのですが、簡単に言えば、ヒーターの面積が大きいほど、W(ワット)が分散するということです。
電力密度が高ければ、Wが一か所に集中しているということになり、飽和温度が高くなります。
また、電力密度が低ければ、Wが分散しているということになり、飽和温度が低くなります。
今回のヒーターではWをそろえたので、最も①ラバーヒーター大の電力密度が低く、③カートリッジヒーターの電力密度が高くなり、このような温度差が発生しました。
なので、空間の大きさにもよりますが、均一に空間を温めたいのであれば、ヒーターは大きく、Wを分散させてあげた方がよい、ということになります。
しかしながら、もちろんヒーターの大きさが大きければコストもアップ致しますので、温度の公差に精度は必要なのか、空間に対流はあるのか、などの様々な条件によって代替案を検討することが出来ます。
③カートリッジヒーターの場合の空間の温度
次に、空間の温度分布を見てみましょう。今回は空間内の外側上中下、内側上中下の6点で温度を測定してみました。
おおよその分布を色でまとめてみました。
これはなぜなのでしょう。
これには、空気の性質が大きく関係しています。
温かい空気は、冷たい空気に比べ、軽くなります。
これにより、筐体内の上部に温かい空気が滞留したと考えられます。
ヒーターに遠い外側の上が、ヒーターに近い外側下に比べ、温度が高かったのは、この行き場所を失った温かい空気が、外側を伝って下りてくる、という循環が起きたためと考えられます。
②ラバーヒーター小に比べ、③カートリッジヒーターの方が温度のばらつきが少なかったのは、ヒーターの温度が高かったことにより、この循環が促されたのではないかと考えられます。
ヒーターによってその効果一長一短!
ヒーターごとの性質の差、わかっていただけましたでしょうか?最も取付場所を選ばない利点のあるラバーヒーターですが、きちんと性質を理解し、場所を選ぶ必要があるのですね。
また、カートリッジヒーターも、ヒーター自体の温度が高いため、注意が必要になりますね。
ここらでまとめてみましょう。
Question: | いろいろなヒーターがありますが、空気加熱に最適なヒーターを教えて下さい。 |
KAWAI: | 最適なヒーターは用途によって異なります。 取り付ける環境を伺い、最適なヒーターをご提案させていただきます! |
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