大きい熱盤と小さい熱盤、温度ムラが出やすいのはどっち?【Q&A】後編 | 熱のことなら-【熱闘ブログ】

2013/08/02

大きい熱盤と小さい熱盤、温度ムラが出やすいのはどっち?【Q&A】後編

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HLPカートリッジヒーターを均等に差し込んで、金属ブロックを加熱したとき
  A: 200角の熱盤
  B: 300角の熱盤
では、どちらのほうが温度ムラが起きにくいのでしょうか?

前々回唐突に始まりました、このクエスション。
答えはどちらか、じっくりと考えられましたでしょうか?

前回、測定方法のご説明で不甲斐無くも終わってしまいましたが、、、
今回は!実際に検証に入って行きましょう!どうぞご覧ください!


さあ、結果やいかに?

温度別に、比較してみましょう。左が200角の熱盤、右が300角の熱盤です。
通電を開始、ヒーターが昇温、制御がかかり、その後、再度通電された際のデータです。

 
 

温度ムラ確認試験 結果
200角
300角
●300℃
 ±18.5℃
±25.45℃
●400℃
 ±19.2℃
±21.35℃
●500℃
±26.4℃
±22.95℃

結果!

ということで、結果は以下の通りとなります。

300角の熱盤のほうが、温度ムラが大きく、
200角の熱盤のほうが、温度ムラが起きにくい!

ということでした。
今回は、500℃時のみ、逆の結果とはなりましたが、
掲載分以外のデータから考えると、本来は500℃時も、同様の結果になるはず、と考えています。

しかし、本来の使い方は、こうではないことも多い、と思った方、多いのではないでしょう?
プレートを作る際、温まりにくい外周のWを高くし、温まりやすい中央を低くするという
「粗密」をヒーターにつけることが多くありますよね。
じゃあ、このときはどうなるでしょう?
多くニーズのある、1.2:1:1.2の比率で試験をしました。


 
 

温度ムラ確認試験<粗密アリ> 結果

200角
300角
●300℃
 ±17℃
±17.6℃
●400℃
 ±18.65℃
±14.75℃
●500℃
±23.6℃
±15.75℃

ということで、意外や意外、粗密をつけると、

200角の熱盤のほうが、温度ムラが大きく、
300角の熱盤のほうが、温度ムラが起きにくい!

という結果になりました。
粗密なし時のデータと比べてみると、通電開始まもなくても、ここまでの改善が見込めるのですね。
放熱の量と、熱容量を増やした分とのバランスがよく、うまい具合に蓄熱されたことが、要因と考えられます。

このように、改善策のご提案もできます。
今回の試験結果で早合点せず、せひ、お気軽にお問い合わせください!

こんなデータも..

そもそも、熱盤の厚みは、ヒーター径に対して3倍以上というデータは正しかったのでしょうか?
下記のサーモグラフィのデータをご覧ください。
ヒーター径に対し、厚みを2倍以下の薄型にした熱盤の温度分布データです。

400℃時のデータと見比べてみると、先ほどの熱盤は±19.2の公差でしたから、
さらに10℃もムラに開きが出てしまいましたね!

ヒーターのプレートはシンプルが故に、奥が深いのですよねえ。

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