新入社員のHは、カートリッジヒーターにて熱板を設計するべく奮闘していた。
そんな中、先輩社員Iから温度制御について意外な忠告を受ける。
I がドヤ顔で提示した資料には、意外な事実が掲載されていたのである…
ヒーターから熱電対までの距離が離れると、
制御温度より何℃、温度ギャップが生じているのか?
先輩社員I
| 「これが試験結果だ」(スッ…) |
* 試験条件は前回をご参照ください。
いずれの熱電対配置位置でも、凡そ下記のような温度推移が見られました。
これを、熱電対の位置ごとに、①~④をまとめ直すとこのようになります。
熱電対の位置が異なると、ヒーターの温度にここまでの差が生じます。
新入社員H
| 「な、なるほどお~~~」 |
先輩社員I
| 「これでわかったかな?」 |
新入社員H
| 「は…はあ。まあ、大体は……」 |
先輩社員I
| 「……」 |
新入社員H
| 「……」 |
先輩社員I
| 「わかってないでしょ」 |
新入社員H
| 「……。 ……すみません……」 |
先輩社員I
| 「よしよし。うい奴よのう。説明して進ぜよう。 ポイントは下記の通りだ」 |
POINT① ヒーターの温度は、熱電対の温度よりも高くなる。
POINT② ヒーターの温度は、熱電対との距離が遠くなる程上がる。
先輩社員I
| 「カートリッジヒーターの一般的な使用温度は400℃迄だ。 ①の場合、ヒーターの最高温度は695℃…… 使用環境を念入りにチェックし、高温時の設計が必要となる、ヒーターにとっては、かなり過酷な温度域だね。 よくある話、ワークの温度を拾えれば装置としては良だが、そうもいかない理由がこれなんだ。」 |
新入社員H
| 「なるほど。あと、熱電対の温度は安定していますが、ヒーターの温度グラフはすごくブレてますね??」 |
先輩社員I
| 「良いところに気付いたね!」 |
POINT③ 熱電対の温度は安定していても、ヒーターの温度は上下している。
先輩社員I
| 「制御温度を保つために、ヒーターは細かくON-OFFされるから、ヒーター温度が安定しないんだね。 このブレ幅も、制御位置が離れるにつれて大きくなるね」 |
新入社員H
| 「ブレ幅が大きいと、内部の発熱線の金属疲労も大きくなり、ヒーターの寿命にも影響しそうですね。」 |
先輩社員I
| 「そうだね!」 |
まとめますと、KAWAIからの回答はこうなります。
センサーとヒーターの距離が離れるにつれて、制御温度とヒーターとの温度差は大きくなります。
推奨位置は10mmです。
今回、400W、10W/cm2仕様のヒーターを使用しましたが、より高い昇温速度をもった仕様であれば、温度差も大きくなると考えられます。
この点を加味して制御位置(センサー取付位置)を考慮する必要があります。
KAWAIでは、熱電対内蔵ヒーターや、高温用ヒーターの製作も可能です。
ヒーター近くへのセンサー取り付けが難しいのであれば、
省スペースな、フィルム型熱電対のご用意が可能です。
新入社員H
| 「今回はありがとうございました!頼りになる先輩を持てて幸せです!」 |
先輩社員I
| 「それほどでもないよお~~(ドヤ顔) 問題も解決したことだし、今日はパーっと飲みに行こうか!?」 |
新入社員H
| 「あ、今日は友達と約束があるんで失礼します」 |
先輩社員I
| 「・・・(´・ω・`)」 |
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