制御位置をヒーターから遠くに・・・ヒーター温度は危険か?【Q&A】後編 | 熱のことなら-【熱闘ブログ】

2012/11/28

制御位置をヒーターから遠くに・・・ヒーター温度は危険か?【Q&A】後編

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前回までのあらすじ~
新入社員のHは、カートリッジヒーターにて熱板を設計するべく奮闘していた。

そんな中、先輩社員Iから温度制御について意外な忠告を受ける。
I がドヤ顔で提示した資料には、意外な事実が掲載されていたのである…

ヒーターから熱電対までの距離が離れると、
制御温度より何℃、温度ギャップが生じているのか?

先輩社員I
「これが試験結果だ」(スッ…)

* 試験条件は前回をご参照ください。

いずれの熱電対配置位置でも、凡そ下記のような温度推移が見られました。


これを、熱電対の位置ごとに、①~④をまとめ直すとこのようになります。


熱電対の位置が異なると、ヒーターの温度にここまでの差が生じます。

新入社員H
「な、なるほどお~~~」
先輩社員I
「これでわかったかな?」
新入社員H
「は…はあ。まあ、大体は……」
先輩社員I
「……」
新入社員H
「……」
先輩社員I
「わかってないでしょ」
新入社員H
「……。
……すみません……」
先輩社員I
「よしよし。うい奴よのう。説明して進ぜよう。
ポイントは下記の通りだ」

POINT① ヒーターの温度は、熱電対の温度よりも高くなる。

POINT② ヒーターの温度は、熱電対との距離が遠くなる程上がる。

先輩社員I
「カートリッジヒーターの一般的な使用温度は400℃迄だ。
①の場合、ヒーターの最高温度は695℃……
使用環境を念入りにチェックし、高温時の設計が必要となる、ヒーターにとっては、かなり過酷な温度域だね。
よくある話、ワークの温度を拾えれば装置としては良だが、そうもいかない理由がこれなんだ。」
新入社員H
「なるほど。あと、熱電対の温度は安定していますが、ヒーターの温度グラフはすごくブレてますね??
先輩社員I
「良いところに気付いたね!」

POINT③ 熱電対の温度は安定していても、ヒーターの温度は上下している。

先輩社員I
「制御温度を保つために、ヒーターは細かくON-OFFされるから、ヒーター温度が安定しないんだね。
このブレ幅も、制御位置が離れるにつれて大きくなるね」
新入社員H
「ブレ幅が大きいと、内部の発熱線の金属疲労も大きくなり、ヒーターの寿命にも影響しそうですね。
先輩社員I
「そうだね!」

まとめますと、KAWAIからの回答はこうなります。
センサーとヒーターの距離が離れるにつれて、制御温度とヒーターとの温度差は大きくなります。
推奨位置は10mmです。

今回、400W、10W/cm2仕様のヒーターを使用しましたが、より高い昇温速度をもった仕様であれば、温度差も大きくなると考えられます。
この点を加味して制御位置(センサー取付位置)を考慮する必要があります。

KAWAIでは、熱電対内蔵ヒーターや、高温用ヒーターの製作も可能です。
ヒーター近くへのセンサー取り付けが難しいのであれば、
 省スペースな、フィルム型熱電対のご用意が可能です。

新入社員H
「今回はありがとうございました!頼りになる先輩を持てて幸せです!」
先輩社員I
「それほどでもないよお~~(ドヤ顔)
問題も解決したことだし、今日はパーっと飲みに行こうか!?」
新入社員H
「あ、今日は友達と約束があるんで失礼します」
先輩社員I
「・・・(´・ω・`)」


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