凍れる音楽、とは奈良の薬師寺を指してフェノロサという人物が言った言葉ですが、本日は音楽と温度の関係についてお話ししようと思います。
音楽と温度の関係
音楽を奏でる楽器には様々な種類がありますが、管楽器を演奏する方々にとって、気温の変化はちょっと気になることのようです。
楽器演奏の経験がある方は、「ピッチ」という用語を耳にされたことがあるかと思います。
何人かが同じ楽器で一斉に「ド」の音を出しても、高く聴こえるドと低く聴こえるドがあって、混ざるとなんだか気持悪い…というあれですね。
この「ピッチ」、気温によっても変化するんです。
(※ここでの「気温」は楽器の管内気温です)
たとえばあるオーケストラで、全ての管楽器のピッチを「管内気温30℃で440ヘルツ」でぴったり一致させ、美しく聴こえるように調整したとしましょう。
ところが、気温が1℃下がると、このピッチの単位が3下がってしまうのだそうです。
真冬の野外コンサートでちょっと楽器に息を吹き込まずにいれば、気温はどんどん下がります。
ぴったり合わせたはずのピッチは休憩時間にバラバラになり、さて演奏となったら…世にも恐ろしい、その場を凍らせる音楽が鳴り響くことでしょう。
ですから、たとえ自分の楽器の出番がなくても、一生懸命息を吹き込んで楽器の温度を保たなければならないのです。
真夏の甲子園球場で場を盛り上げる吹奏楽部、肌寒い季節に音楽を届けるプロの演奏家たちには、知られざる苦労があったのですね。
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